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Wandering Wondering

Social/Journal

FRAGMENT

Timeline: accel

炎王の憂い

「それでは決議を取ります」
アクイラの議会で、一つの予算案が通された。
「科学研究府の予算の完全廃止、賛成の者は挙手を」
大半の議員は挙手をしていない。
しかし、
「フレイ王の票は10票と見做されます」
議会がどよめいた。
「そんなの職権濫用だ!!」
「国民の総意を無視するつもりか!!」
色々な罵声がフレイに投げかけられる。
「構わない。私は科学研究府の援助を打ち切る」
議会は大荒れのまま幕を閉じた。
――――
「大丈夫ですか? 殿下」
「叩かれるのは慣れているよ、ツクヨミ」
「彼らは殿下の考えを何も理解していない」
「ああ。科学研究府――奴らは既に世界の脅威になりつつある」
「N.E.M.最大の国アクイラの中にあるからこそ、科学研究府の強大さが目立っていないですからね」
「彼らは経済力をS.U.諸国数個分は蓄えている。いつ独立してもおかしくない国が援助を受けるのはおかしいだろう。もっと他に、支援しなければならないものがあるはずだ」
「その通りです。まあ、科学研究府が独立することは不可能でしょうね」
「そのための、抑止力だからな」
「ええ。炎神ヴルカヌス。それと契約せし殿下はその存在が神聖です。それに刃向かうなど畏れ多すぎる」
「過大評価しすぎだよ、ツクヨミ。私はしがない一人の人間さ。人々を掌握することは簡単だ。しかし、それだけでは独裁者にすぎない。私は、民を導く存在でありたい。だから、今回のことも、民衆に貶されても、押し通さなければいけなかったのだよ」
「大丈夫です、殿下。私が傍にいますから。民が殿下を見捨てても、私は殿下を見捨てたりしません」
「……ありがとう、ツクヨミ」